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全国憲法研究会は、約400名の会員を擁する憲法学研究者の学会です。
2023-04-13

2023年度 研究集会

全国憲法研究会では、毎年春(5月)と秋(10月)の年2回、年間テーマを立てた研究集会を開催しております。

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➢ 2023年度

年間テーマ:変動する国際社会と憲法 

 「グローバル化」という言葉は日本語としてもすっかり定着した感がある。暗黙に想定されているのは、「右肩上がり」に世界大での<人・モノ・カネ>をめぐる動きが前進するという現象ではなかっただろうか。しかし<人・モノ・カネ>の相互依存関係は、近年とくに変化が著しく、断片化・ローカル化・多元化が急であり、なかには国際的秩序の統合的構想とは逆のベクトルを向いているような現象も見出せる。

 アメリカや中国といった大国をめぐる国際力学やその影響の下での経済的連関関係が構造的に変質しつつある。そのようななか 2022 年2月に始まったロシアのウクライナ侵攻は、武力行使が原則として違法化された後の国際法秩序に動揺を与えた。また世界大に広がったコロナ禍と「ポスト・コロナ」の見通しは、国家・国際的機関・企業・NGOs・国際的イニシアティブ等の動きや戦略に小さくないインパクトを及ぼしている。世界大で強く認識されるようになったサスティナビリティの観念により、人々の忠誠の対象は一層拡大しており、市民が複数のグローバルな集団のステークホルダーとなることも珍しくはなくなっている。

 個々の市民に直接に影響を与える規範についていえば、国際的公序の形成は、これまでと比べてもより一層、各国国内法の手を離れつつある。規範の創出・改変は国際機関のみならず非国家主体によっても活発になされ、国際水準として維持されているのであって、人権保障は、裁判的救済局面のみならず、政治部門を含めた統治機構論としても再定位し続ける必要がある。

 グローバル化の変調は、もはや旧来の主権国家の枠組みへの単純な回帰を意味するものではないだろう。仮にこのような動きが強まるとして、我が国の憲法秩序に影響を与えるのか、あるいは与えないのか。このような視点から国際社会の変動を認識・分析することは、一定の意義を有しよう。

秋季研究総会
テーマ:変動する国際社会と憲法~各論

日時:2023年10月9日(月・祝)9:30〜17:00
会場:立命館大学 衣笠キャンパス 以学館IG101(1号ホール)

報告者・報告タイトル(仮題)

・大久保規子会員(大阪大学)「エコロジー憲法と国際的な環境・人権秩序の相互
影響」
・金子匡良会員(法政大学)「憲法における『企業と人権』の位置づけ」
・菅原 真会員(南山大学)「重国籍と日本国憲法 10 条および 22 条 2 項の新解釈」
・渕 圭吾会員(神戸大学)「憲法と租税」

司 会:横内 恵会員(亜細亜大学)、吉川智志会員(大阪大学)
企画実行委員:青井未帆会員(学習院大学)・斎藤一久会員(明治大学)・菅原真
会員(南山大学)・手塚崇聡会員(千葉大学)

春季研究集会
テーマ:変動する国際社会と憲法~総論

日時:2023年5月13日(土)9:30〜17:00
会場:

【対面会場】中京大学名古屋キャンパス 4号館431教室
【オンライン】Zoom(URL等は会員宛の会報とメールにて告知)

報告者・報告タイトル(仮題)

・山田哲史会員(京都大学)「多元化するグローバル法秩序と憲法・立憲主義」
・小畑郁氏(名古屋大学・ゲスト)「日本憲法秩序と人権条約」
・齊藤正彰氏(北海道大学・ゲスト)「多層的立憲主義と平和主義」
・小川有希子会員(帝京大学)「規範形成過程のグローバル化と立憲主義」

司 会:大野友也会員(愛知大学)、小西葉子会員(高知大学)
企画実行委員:青井未帆会員(学習院大学)・斎藤一久会員(明治大学)・
       菅原真会員(南山大学)・手塚崇聡会員(千葉大学)

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