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全国憲法研究会は、約500名の会員を擁する憲法学研究者の学会です。

研究集会

毎年、春と秋(5月、10月)の年2回、年間テーマを立てた研究集会を開催しております。

2020年度の研究集会は、「分断・周縁・憲法学」を年間統一テーマに準備を進めてきましたが、5月9日(土)開催予定の春季研究集会(於・松山大学)は、新型コロナウイルス感染拡大により中止といたしました

これまでの研究集会テーマ 一覧

➢ 2020年度

年間テーマ:「分断・周縁・憲法学」

【企画趣旨】
 

 憲法学はこれまで、自由、平等、民主主義を理念に掲げる社会の実現のため、他者への寛容を基調としつつ、個人の自由や多様性を尊重する社会システムの構築を一定程度目指してきたといってよい。また、コスモポリタニズムやグローリズム等を志向する、あるいはそれを前提とすることで、広く共有可能な価値の実現とともに、「拓かれた」良き未来が必然的に訪れる、という期待を漠然と抱いてきたのではないかと考える。こうした理論的営みや、憲法学に携わる人々がある程度共有してきた思いの重要性は、今後も変わることはないであろうし、そう信じたいところである。

 もっとも、我々の前に横たわる現実社会は、上記の理念・理想から幾分外れてきてはいないだろうか。特に近年の現象として、目を向けなければならないのは、市民社会の瓦解の徴候である。様々な局面を通じて人々の間で「分断」が進み、容赦のない怒りが分断化された人々の間で日々増幅され、他者への寛容、あるいは連帯が受け入れがたい理想になりつつあることは否めない。かような進展をたどる背景としては、たとえば、国内階層間の分断化、政治における疎外、社会関係の断片化、都市と周縁地域との間での対立等を指摘することができる。

 社会の分断や周縁化される人々を単なる一過的な事象とは捉えず、今日そこに到った構造的問題に焦点を当てたいというのが、上程案の総論的なテーマである。もっとも、現在の分断化状況の出現は、都市の知的エリートに支持されてきた「個人の自由」や「社会の多様性」といった価値自体への反感・反発を含み、さらにはそれを主張する、いわゆる「シャンパン・リベラル」とか「リムジン・リベラル」として恵まれた状況にある人々への反感・反発をも含むような、(場所的及び階層的)「周縁」となる人々の声が、傾聴に値しないものと顧みられなかったことが遠因にあると考えられる。  他方で、憲法学の担い手の多くは、都市で教育を受けた知的エリートそのものであると捉えられたとしても、仕方のない面はありうる。そうであれば、今回のテーマについて思惟することには困難が伴い、一定の自己省察を迫るものになりかねないことは、確認しておかねばならないであろう。しかし、困難を超えて、あえて現代の「分断」や「周縁」をめぐる問題に向き合い、新たな道筋を、憲法学自身において見出せないかと考えたものである。

秋季研究総会
テーマ:「分断・周縁・憲法学」

日時:2020年10月17日(土) 13:30~17:00
会場:オンライン開催(参加方法の詳細は会員宛てにメールにて告知)

報告者・報告タイトル(敬称略)

・榎澤 幸広 (名古屋学院大学)「『周縁』としての『離島』からみる憲法問題」
・永山 茂樹 (東海大学)「世代の分断と憲法的統合」
・小谷 順子 (静岡大学)「社会の分極化とヘイトスピーチ」
・成原 慧 (九州大学)「情報通信技術による接続/分断と民主主義」
・木下 和朗 (岡山大学)「ブレグジットとイギリス憲法の動態:分断する政治・社会と統治機構のメカニズム」

司会:新井 誠(広島大学)、西山 千絵(琉球大学)
企画実行委員:新井 誠(広島大学)、西山 千絵(琉球大学)
       木下 和朗(岡山大学)、柴田 憲司(中央大学)